数日間のネット不通が教えてくれた、静かな時間
先日、住んでいるマンション全体で、数日間インターネットが使えなくなりました。
最初は不便に感じたものの、「この際、デジタルデトックスをしてみよう」と気持ちを切り替えてみると、いつもより丁寧に掃除をしたり、ただ静かに過ごす時間が生まれました。
つながらない時間の中で気づいたのは、いつの間にか「常につながっていること」を当たり前だと思い込み、それを安心のよりどころにしていた自分でした。
今回はその経験をもとに、心を整えるための小さなデジタルデトックスの実践法を綴ります。
きっかけは”つながらない数日間”

突然のネット不具合──最初に感じた不安と焦り
ある日突然、マンション全体でインターネットが使えなくなり、管理会社からの連絡では、ちょうど連休に入るタイミングだったため「復旧まで数日かかる見込み」とのこと。
最初に感じたのは、想像以上の不安でした。
「予定していたパソコンでの作業ができない」、「見たい動画が見られない」というもどかしさ。
スマートフォンは使えるものの、普段何気なく使っていたパソコンでの作業や、大きな画面での動画視聴ができないことで、妙に落ち着かない気分になってしまいました。
「明日も使えないのだろうか」
「いつ復旧するのだろう」
──そんな漠然とした不安が心を占めて。
当たり前のように使っていた通信環境が、こんなにも日常を支えていたのだと気づかされた瞬間でした。
不便さの向こうに現れた”静けさ”
しかし、半日ほど経った頃から、だんだん心境が変わっていきました。
「この際、デジタルデトックスだと思ってみよう!」
──そう考えを切り替えると、不思議と気持ちが軽くなっていきました。
通知音も、情報の波も、SNSのタイムラインもない、ただ静かでシンプルな時間。
窓の外から聞こえる鳥の声、部屋に差し込む光、自分の足音。
普段は意識していなかった五感が、少しずつ戻ってくる感覚がありました。
「何もない時間」は、決して退屈ではありません。
むしろ、その静けさの中に、忘れていた豊かさがあることに気づき始めたのです。
改めて考える”デジタルデトックス”とは

「断つ」ではなく「距離をとる」という選択
デジタルデトックスと聞くと、「スマホを完全に手放す」、「SNSを全部やめる」といった極端なイメージを持つ方もいるかもしれません。
でも、本当に大切なのは“完全に手放すこと”ではないと私は思います。
仕事の連絡、家族や友人とのやりとり、必要な情報収集
──私たちの生活には、デジタルツールが欠かせない場面がたくさんあります。
必要なものまで排除しようとすると、かえってストレスになってしまうでしょう。
私たちにとって大切なのは、「断つ」ことではなく「距離をとる」こと。
自分にとって心地よい距離感を見つけることが、デジタルデトックスの本質ではないでしょうか。
頭と心を休ませる”情報の余白”
現代の私たちは、想像以上に多くの情報に触れながら暮らしています。
SNSのタイムライン、ニュースサイト、メールの通知、動画サイトのおすすめ
──絶え間なく流れてくる情報は、意識していなくても頭と心を刺激し続けています。
少し離れてみると、「今ここ」に意識が戻ってくる感覚があります。
「次に何を見ようか」、「このニュースはどういう意味だろう」といった思考から解放され、目の前のことにただ向き合える時間。
その余白が生まれることで、自分の本当の気持ちや、今大切にしたいことに気づきやすくなるのかもしれません。
つながらない時間に”できたこと・感じたこと”

手を動かすことで心が落ち着く時間
ネットが使えない間、私はずっと先延ばしにしていた掃除や整理整頓に取り組みました。
クローゼットの奥にしまい込んでいた服を見直したり、本棚を整理したり、備品をチェックしたり。
手を動かすことに集中していると、少しずつ心が落ち着いていくのを感じました。
「今ここ」に意識を向けることで生まれる穏やかさ。
「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」という焦りから少し離れて、目の前のことだけに向き合う時間は、とても貴重でした。
ずっと「時間があったらやろう」と思っていたことに、ようやく向き合う余裕ができたことも、嬉しい発見です。
何もしない贅沢──静けさに身をゆだねる
掃除をひと通り終えた後は、本当に「何もしない」時間も過ごしました。
ソファに座って、ただ窓の外を眺める。
お茶を淹れて、ゆっくり味わう。
無音の空間で感じた安らぎは、思っていた以上に心地よいものでした。
普段は「何かしなければ」、「時間を有効に使わなければ」という焦りがどこかにありました。
でも、静けさそのものが、心を満たしてくれることもあるのだと気づいたのです。
何もしない時間は、決して無駄ではありません。
それは、心を整えるために必要な時間なのかもしれません。
復旧後に感じた安堵と、新しい気づき
数日後、ネットが復旧しました。
「あぁ、よかった」という安堵と同時に、少し複雑な気持ちも湧いてきました。
「またいつもの忙しさに戻るのか」
「あの静かな時間は、もう戻ってこないのか」
──そんな思いです。
この数日間に感じた穏やかさや心の余裕を、これからの日常にも取り入れていきたい。
そう思ったことが、デジタルとの付き合い方を見直すきっかけになりました。
日常で取り入れる”小さなデジタルデトックス”

まずは「見ない時間」を少しだけ作る
デジタルデトックスは、特別な準備がなくても今日からできる小さな習慣です。
朝と夜の30分だけ、スマホを見ない
朝起きてすぐスマホをチェックする習慣がある方は多いのではないでしょうか。
その習慣を少しだけ変えて、起きてから30分はスマホを見ない時間にしてみる。
夜寝る前も同じです。
たった30分でも、心の余白が生まれるのを感じられるかもしれません。
食事中はスマホを別の部屋に
食事をしながらスマホを見るのも、よくある光景です。
でも、食事の時間だけは、スマホを別の部屋に置いてみましょう。
食べ物の味わいや香りに集中できる時間になります。
通知をオフにする時間帯を決める
すべての通知をオフにする必要はありません。
「この時間だけは通知をオフにする」と決めてみると、自分のペースを取り戻す感覚が少しずつ生まれてきます。
画面の代わりに”心が整う時間”を増やす
デジタルデトックスは、「我慢」ではなく「別の心地よさを見つける」こと。
好きな本を読む、お茶を淹れる、植物を眺める
スマホを見る代わりに、
・本を開く
・丁寧にお茶を淹れる
・身近にある植物を眺める
小さなことでも、そうした時間が心を満たしてくれるのです。
「時間があったらやりたいこと」リストを作る
「時間があったら、あれをやりたい」と思っていたことを書き出してみるのもおすすめです。
スマホを見る時間を少し減らして、そのリストに取り組んでみましょう。
自分が本当に大切にしたいことが、少しずつ見えてくるきっかけになります。
オフラインの”静かな習慣”を持つ
少しずつ慣れてきたら、もう少し長い時間のデトックスにも試しに挑戦してみましょう。
週に一度、半日だけSNSを開かない日を作る
毎日は難しくても、週に一度だけ、半日だけ。
それだけでも、心の余白が生まれます。
散歩やストレッチなど、体を動かす時間を意識的に
画面から離れて、体を動かす時間を持つこと。
それもデジタルデトックスの一つです。
体を動かすことで、心もリフレッシュできます。
デジタルから離れることで取り戻せる「自分のペース」
デジタルツールは便利ですが、知らず知らずのうちに、私たちは情報やSNSのペースに合わせて生きていることがあります。
たまには距離をとることで、“自分のペース”を取り戻す時間を持ってみませんか。
それがきっと、心の静けさにつながっていくはずです。
つながらない時間が教えてくれたこと

数日間のネット不通という、予期せぬ出来事。
最初は不便に感じましたが、不便さの中にも思いがけない自由がありました。
情報を遮断して初めて聞こえてくる、自分の内側の声。
「何もしない時間」は、決して無駄ではなく、心を整えるために必要な時間なのだと気づきました。
デジタルは便利な道具です。
でも、たまには距離をとることで見えてくるものがある。
それは、自分が本当に大切にしたいものや、心が求めている穏やかさかもしれません。
これからも、忙しい日常の中で、小さなデトックスを続けていきたいと思います。
あなたも、ほんの少しだけ、デジタルから離れる時間を作ってみませんか。
静けさの中に、心を整えるヒントが隠れているかもしれません。
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