冬の夜、和の時間で心を落ち着ける
冬は一日の終わりを意識する時間が長くなります。
日が落ちるのも早く、窓の外は冷たい空気に包まれて、家の中で過ごすことが多くなる。
そんな季節だからこそ、「少し静かに落ち着いて暮らしたい」という感覚を覚える方も多いのではないでしょうか。
和の暮らしには、心を落ち着ける「時間のつくり方」があります。
それは特別な作法や形式を守るような難しいことではなく、ただ、目の前のひとつのことに意識を向けるだけ。
例えば、香りをたく、文字を書く、灯りをともす、などの小さな行いの中にさりげなく存在しています。
今回は、冬の夜に取り入れる、心が落ち着く和の時間についてご紹介します。
すべてを揃えなくても、完璧にしなくても大丈夫。
自分に合いそうなものを、無理なく続けられる形で取り入れてみてください。
和の時間で静かに立ち止まる

和の暮らしと聞くと、きちんとした作法や形式を守らなければいけないと思うかもしれません。
茶道や華道のように、厳格なやり方があって、それを学ばなければ始められないもの。
そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
でも、本当に大切なのはそこではないのです。
和の時間とは、
静かに立ち止まり、ただ目の前のことに意識を向けること
外界からの刺激に反応せず、「空白の時間」をつくること
今の自分の状態を振り返る余裕を持つこと
形式や作法は、あくまでその時間を作るための「きっかけ」にすぎません。
忙しい人にこそ必要な、立ち止まる時間
毎日忙しく過ごしていると、常に動き続けなければならないという感覚になりがちです。
「こんなことをしている時間があるなら、やるべきことがあるのでは」
「何もしないなんて、もったいない」
このような罪悪感を覚えることもあるでしょう。
しかし、心が疲れているときほど、立ち止まる時間は必要です。
やり方が正しいかどうかではなく、あなたにとって静かで落ち着ける時間かどうか。
ほんの短い間でもいいので、そのような機会をつくってみませんか。
香りで「今」に返る
香りは心を切り替えるきっかけになります。
そしてお香は、香りそのものだけでなく、火をつけてから消えるまでの「時間の流れ」も含めて、静かなひとときをつくってくれます。
お香
お香に火をつける
煙が立ちのぼる
香りが静かに広がる
そして、やがて消えていく
このシンプルな流れを、ただ見守る時間。
それだけで、心を「今、目の前にある瞬間」に引き戻してくれます。
お香は、火をつけてから消えるまでの時間がだいたい10〜20分程度です。
その間、煙がゆっくりと立ち上り、香りがふんわりと部屋に広がっていく。
その様子を眺めているだけで、ゆったりと落ち着いた気持ちになるでしょう。
茶香炉
お香の煙が気になる方には、茶香炉もおすすめです。
茶香炉は、キャンドルの熱でお茶の葉を温めて香りを楽しむもの。
ほうじ茶や緑茶など、身近な素材で香りを感じられるのが特徴です。
煙が少なく、やさしい香りが広がるので、敏感な方でも使いやすいでしょう。
お茶の葉が温まっていく過程で、ふわりと香りが立ち上ってくる。
その瞬間を待つ間も、心を落ち着けてくれます。
書くことで心を鎮める
頭の中でぐるぐるとめぐっていた思考が、文字を書いているうちに落ち着いてきたりすることがあります。
文字の形や筆の動きに集中し、手元だけに意識を向けることで、ざわついていた心がだんだんと静かになっていくのを感じられるでしょう。
写経
心を静める「書くこと」としておすすめなのが写経です。
写経と聞くと、お寺で正座をして、何時間もかけて経文を書き写す。
…そんな宗教的なイメージがあるかもしれません。
ですがここでご紹介するのは、もっと気軽に取り組めるものです。
写経をするとき、全文をきちんと書き終える必要はありません。
途中まででいいし、なぞり書きだけでもいい。
上手に書けなくても、文字が曲がっていても、バランスが悪くても、気にしなくて大丈夫。
大切なのは「正しくやること」ではなく、その時間があなたにとって静けさを感じられるかどうかです。
筆ペンで「一文字」
写経よりもっと簡単にできるのが、筆ペンで一文字だけ書くことです。
例えばこのように、その日の気分で、心に響く一文字を選んでみてください。
「静」:静けさを求めたいとき
「間」:余白を意識したいとき
「和」:穏やかな気持ちで過ごしたいとき
「凪」:心を鎮めたいとき
日付:その日を記憶にとどめておきたいとき
上手に書く必要はなく、筆ペンをゆっくり動かしながら、墨の濃淡や筆先が紙に触れる感覚に集中する。
目の前にある「今」を感じることで、心が穏やかになることでしょう。
灯りでやすらぎをつくる
部屋全体を明るくするのではなく、一角だけをやわらかく照らす。
それだけで、「静かに落ち着ける場所」が生まれます。
やわらかい灯りが心を和ませる
夜になっても部屋全体を昼間のように明るくしていると、体も心も「まだ活動する時間だ」と感じてしまい、なかなか休まりません。
本来、夜は静かに過ごすための時間。
やわらかい和の灯りを部分的に取り入れることで、必要以上に明るくなりすぎず、夜らしく穏やかに過ごす空間となります。
部屋の一角に小さな灯りをひとつ置くだけでも、どこか心が温かくなり、和んでいくのを感じられるでしょう。
選びやすい和モダンの間接照明
最近では、和紙や和柄が特徴的な「和モダン」として、和室・洋室のどちらでも合わせることができるデザインが人気です。
小さくても存在感があり、場所を選ばず取り入れやすい、和モダンの間接照明がおすすめです。
合うものをひとつだけ
ここまで、冬の夜に心が落ち着く和の暮らしについて、「香り、書く、灯り」という3つの観点からお伝えしてきました。
いろいろな取り入れ方を見て、「あれもいいな」、「これも気になる」と思われたのではないでしょうか?
ですが、和の時間を取り入れる本来の目的は「静かに立ち止まって、穏やかな時間を過ごす」ことでしたね。
前回の記事でもお伝えしたとおり、冬は「引き算で考えて、自分にとって心地の良い状態を選ぶ」ことが大事です。
すべてをそろえる必要はありません。
香りだけ
書くだけ
灯りだけ
まずは自分に合いそうなものをひとつだけ選んで、それをゆっくり丁寧に試してみてください。
毎日続けられなくても大丈夫です。
あなたのペースで、無理なくできる形でやってみましょう。
和を取り入れて静かな時間を
寒い冬の夜に、心を落ち着ける時間。
細かい作法や決まりごとにしばられる必要はなく、誰でも自由に楽しむことができます。
和を取り入れることで、静かな時間を快適に過ごせる、小さなきっかけとなりますように。
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