寒さの中で出会う、梅の花と春の気配

アイキャッチ-寒さの中で出会う、梅の花と春の気配

寒さが続く2月―今だけの春を探しに

2月に入っても、朝はまだ吐く息が白く、寒さが続きます。
けれど陽の光には、冬とは違うやわらかな明るさが混じり始めていることに気づく日もあるでしょう。

そんな季節のすきまに、密かに咲き始めるのが梅の花です。

梅は、”いつの間にか咲き始め、気づいたら散っている”花でもあります。
「寒いから、もう少し暖かくなってから―」そう思っているうちに、見頃をつい逃してしまうことも少なくありません。

桜のように大きく開花が報じられるわけでもなく、ひっそりと咲いて、ひっそりと散っていく。
だからこそ意識して見に行かないと、その年の梅との出会いを逃してしまうのです。

今回は、梅の咲く時期や種類、そして今だけの空気を味わいに出かける楽しさをご紹介します。

冬の終わりと春の始まりが重なるこの季節に、ほんの少しだけ外へ出てみませんか。

今回ご紹介すること

冬と春のあいだに

咲始めの白梅の写真

桜よりもずっと早く、まだ空気が冷たい頃に咲き始める梅。
派手さはないけれど、静かに春を告げてくれる存在です。

梅の花に気づくきっかけは、意外と「香り」であることも。
歩いている途中で甘くやさしい香りに包まれ、初めてそこに梅が咲いていることを知る―そんな経験もあるのではないでしょうか。

梅は「春が来た」と宣言する花ではありません。
どちらかといえば、「春はもう近くまで来ている」ことを、そっと教えてくれる花なのです。

まだコートが手放せない日々が続いていても、梅の花を見ると「確かに季節は動いているんだな」と感じられます。

ぽつぽつと花をつける控えめで上品な梅の花は、凛とした強さとやわらかな温もりを兼ね備えています。

その両面性が、冬と春のあいだという少し曖昧でいて、とても美しい時間を彩ってくれるのです。

梅の種類と咲く時期・特徴

梅の種類は桜ほど多く語られることはありませんが、時期ごとの代表的な品種と特徴を知っておくと、梅を見る楽しみが広がります。

「こういう梅もあるんだな」と思いながら眺めるだけで、出会いの印象が変わるかもしれません。

早咲きの梅(12月〜2月上旬)

まだ寒さが厳しく、風も冷たい頃に咲く早咲きの梅。
この時期は人もまだ少なめなので、自分のペースで静かな時間を過ごせます。
静寂の中で香る梅に、ひと足早い春の気配を感じられるでしょう。

代表的な品種

冬至梅(とうじばい/とうじうめ)

白色の一重咲きで、蕾は淡いピンク色。
冬至のころに咲き始めるのが名前の由来で、お正月用の梅としてもも用いられます。
寒い朝の空気に映える、清楚な印象の梅です。

冬至梅の写真

八重寒紅(やえかんこう)

濃い紅色の八重咲き。
寒い中でも鮮やかな色が目を引き、まるで冬景色の中にポツンと灯った明かりのようです。
花びらが重なり合う姿は、寒さに負けない力強さを感じさせます。

八重寒紅の写真

中咲きの梅(2月中旬〜下旬)

白梅も紅梅も咲きそろい、香りも一番豊かな時期。
「梅を満喫した」という充実感を得やすいタイミングです。
ゆっくりと散策しながら、お気に入りの一本を見つけてみましょう。

代表的な品種

緑萼梅(りょくがくばい)

白い花に黄緑色のがくが特徴的な品種。
清涼感のある白と緑のコントラストが美しく、見る角度によって表情が変わるのも魅力です。

緑萼梅の写真

白加賀(しろかが/しらかが)

白い花が特徴で、香りも強い品種です。
梅園でよく見かけるため、「梅といえばこの花」という印象を持つ方も多いことと思います。
果実は梅酒や梅干しなどに使用されます。

白加賀(梅の品種)の写真

鹿児島紅(かごしまこう/かごしまべに)

濃い紅色の八重咲き。
紅梅の代表格ともいえる品種です。
鮮やかな紅色は、まだ少し灰色がかった冬景色に、生命の輝きを添えてくれます。

鹿児島紅(梅の品種)の写真

玉牡丹(たまぼたん)

純白色の八重咲きで花びらが多く、牡丹のように豪華。
梅とは思えないほどのボリューム感が特徴です。
一輪一輪が存在感を放ち、見応えがあります。

玉牡丹(梅の品種)の写真

遅咲きの梅(2月下旬〜3月)

八重咲きなど、花びらの多い華やかな品種が見られる時期。
空気も少しずつゆるんで春らしさが増し、心地よい春の訪れを全身で感じられるのが遅咲きの魅力です。

代表的な品種

思いのまま(おもいのまま)

一本の木に白・紅・紅白の絞りが混在する品種。
同じ枝から違う色の花が咲くため、見ていて飽きません。
毎年決まった色が出るわけではなく、梅自身の気まぐれ(思いのまま)に咲き方が変わる性質が最大の特徴です。

思いのまま(梅の品種)の写真

楊貴妃(ようきひ)

淡いピンクの八重咲き。
ふっくらとした花姿が優美で、名前にふさわしい華やかさがあります。
花びらが幾重にも重なる様子は、まるで絹の布を重ねたような繊細さです。

楊貴妃(梅の品種)の写真

豊後(ぶんご)

淡いピンク色の大きめの花。
やわらかな雰囲気で、見ているだけで気持ちがほぐれていくような優しさがあります。
梅と杏の交雑種とされており、ふっくらとした花姿が特徴的です。

豊後(梅の品種)の写真

品種によって地域差があります。
品種名が書かれた札がついていることも多いので、気になる花を見つけたら名前を調べてみるのもいいですね。


「去年は早咲きの時期に行ったから、今年は中咲きを見てみよう」
そんなふうに、毎年違うタイミングで梅と出会うのも楽しみ方のひとつです。

同じ木でも、時期が違えば表情が変わります。
完璧なタイミングを狙うよりも、「今年はこんな梅に出会えた」という偶然性を楽しみましょう。

観梅の楽しみ方

時期

梅の見頃は、「もう少し暖かくなったら」と思っているうちに、ふと振り返ると、いつの間にか過ぎてしまうことも少なくありません。

だからこそ、完璧な気候になるを待たずに、「ちょっと寒いかな」と感じるくらいの日でも、風が穏やかで、陽が差しているようであれば、出かけてみませんか。

計画を立てすぎず、その日の状況に任せて、梅を楽しんでみましょう。

場所

梅を見に行くといっても、有名な梅園まで無理に足を運ばなくても構いません。
近所の小さな公園や神社、川沿いの遊歩道など、身近な場所でも十分に楽しめます。

特にそういう場所では人が少ない分、香りや空気をゆっくり感じることができるでしょう。

地元に咲く梅は派手さはないかもしれませんが、その土地に長く根を張り、毎年穏やかに花を咲かせています。
そんな梅を見ることは、自分の住む場所の季節を、もう一度見つめ直すきっかけになることも。

計画的に訪れるのももちろん素敵ですが、「散歩のついでに梅があったら見よう」くらいの気軽さで、その日、その場所でしか出会えない梅の表情を大切にしてみてください。

寒さの中で見つける、今だけの春

梅は、冬と春のあいだに咲く花。
少しずつ春は近づいている―そのことを、梅はそっと教えてくれます。

毎年同じように咲いているように見えても、気候も違えば、自分の状態によっても見え方が変わります。
だからこそ、今年の梅は、今年しか見られないのです。

まだもう少し寒い日が続きますが、思い切って外に出てみましょう。

そこには梅の花が待っています。


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